「何が大切かって、休まずにやり続けること。それが努力ってものです」
花形進がジムの練習生達と話す時、一つのキーとして語ることだ。
例えば、ロードワーク(走り込み+α)。一日に何キロ走るとか、距離の問題よりも、「毎日」続けることの方が大切だと語る。このことは単純な話なようで深い。
ある日、仮にやる気がみなぎって50キロ走ったとする。周囲からすれば、「おお、それはすごい!」となる。話としては“派手”は話だ。一方、一日5キロ走る。それを毎日欠かさずに走る。毎日毎日。この話はどうか?話としては、あるいは“地味”な話かも知れない。
しかし、前者よりも後者の方が、花形進は大切だと語る。また後者の方が、前者よりも数段難しいことは、何かに本気で取り組んだことのある人なら誰でも理解出来るだろう。
何が難しいかって、「やる気がある時に“やる”」よりも、 「やる気が起きない時に“やる”」方が余程難しいのだ。
「そりゃ、私も人間だから、それが簡単なことではなかったですよ。一応、雨の日は、休みと決めていたんです。
だから、ロードワークの時間が近づくと、『ああ、雨降らないかな』って、本気で念じるわけです。
でも都合良く降らない。で、結局走りに出るわけです。ええ、そこできちんとやるかどうか、というところですよね。これはカラダが頑丈とかそういう問題ではない。心の持ちようの問題です。
そしてその心を支えているのが、『絶対にチャンピオンになる』という強い信念です。
試合に負けて、落ち込んでやる気がなくなったからって、練習をやらなくなっちゃいけないんです。
もちろん、試合後数日は休息を取って良いでしょう。でも休息を取ったら、また休まずに練習するんです。それが出来るか、出来ないかってことですよ。
勝ってどうするかではない。負けて、それでどうするかってことですよ。勝負は負けることがあるんです。負けても、信念を持って立ち上がり、すかさず練習に打ち込み、再び勝負に挑む。これが強さってものではないでしょうか?」
花形進はデビュー以来、10回戦に進むまで、29戦して15勝8敗8分でKO勝ちは一つもない。
しかし、花形進は、この期間に基礎体力、技術を着々と身につけていた。彼の持ち味の「我慢強いボクシング、最後まで闘志を捨てない粘着力、相手に打たせないボクシング」、これらは、いわばこの“下積み”時代に培われたものだ。
そして昭和43年、デビューから4年の時を経て、10回戦に進んだ。
花形進はまだ疲れていなかった。
つづく
※当ブログは月2回程度の更新になります。
花形進がジムの練習生達と話す時、一つのキーとして語ることだ。
例えば、ロードワーク(走り込み+α)。一日に何キロ走るとか、距離の問題よりも、「毎日」続けることの方が大切だと語る。このことは単純な話なようで深い。
ある日、仮にやる気がみなぎって50キロ走ったとする。周囲からすれば、「おお、それはすごい!」となる。話としては“派手”は話だ。一方、一日5キロ走る。それを毎日欠かさずに走る。毎日毎日。この話はどうか?話としては、あるいは“地味”な話かも知れない。
しかし、前者よりも後者の方が、花形進は大切だと語る。また後者の方が、前者よりも数段難しいことは、何かに本気で取り組んだことのある人なら誰でも理解出来るだろう。
何が難しいかって、「やる気がある時に“やる”」よりも、 「やる気が起きない時に“やる”」方が余程難しいのだ。
「そりゃ、私も人間だから、それが簡単なことではなかったですよ。一応、雨の日は、休みと決めていたんです。
だから、ロードワークの時間が近づくと、『ああ、雨降らないかな』って、本気で念じるわけです。
でも都合良く降らない。で、結局走りに出るわけです。ええ、そこできちんとやるかどうか、というところですよね。これはカラダが頑丈とかそういう問題ではない。心の持ちようの問題です。
そしてその心を支えているのが、『絶対にチャンピオンになる』という強い信念です。
試合に負けて、落ち込んでやる気がなくなったからって、練習をやらなくなっちゃいけないんです。
もちろん、試合後数日は休息を取って良いでしょう。でも休息を取ったら、また休まずに練習するんです。それが出来るか、出来ないかってことですよ。
勝ってどうするかではない。負けて、それでどうするかってことですよ。勝負は負けることがあるんです。負けても、信念を持って立ち上がり、すかさず練習に打ち込み、再び勝負に挑む。これが強さってものではないでしょうか?」
花形進はデビュー以来、10回戦に進むまで、29戦して15勝8敗8分でKO勝ちは一つもない。
しかし、花形進は、この期間に基礎体力、技術を着々と身につけていた。彼の持ち味の「我慢強いボクシング、最後まで闘志を捨てない粘着力、相手に打たせないボクシング」、これらは、いわばこの“下積み”時代に培われたものだ。
そして昭和43年、デビューから4年の時を経て、10回戦に進んだ。
花形進はまだ疲れていなかった。
つづく
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